【第1回/全10回】三角関数
最も基本的な交流である正弦波は三角関数で表されます。
今回は三角関数について学びましょう。
※すでに知っている人は飛ばしていいです。
三角関数とは
直角三角形って、直角以外のもう一つの角が分かれば同じ形になりますよね(相似)。
この角度\(θ\)(シータ)の時の b / a と c / a という比を表す関数が、三角関数\(\sin θ\)(サインシータ)と三角関数\(\cos θ\)(コサインシータ)という関数なのです。
\[\sin θ = \frac{b}{a}\]
\[\cos θ= \frac{c}{a}\]
※丸で囲むの忘れたけど気にしないで
例えば、\(\sin 30^{\circ}=\displaystyle \frac{1}{2}\)、\(\cos 45^{\circ}=\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2}}\)です。しかし、これらの値は人間が計算して求めるのではなく、普通は三角関数表や関数電卓を使って求めます。
例題
① \(θ=30^{\circ}\)、\(a=20\)の時、\(b\)の値は?
② \(θ=45^{\circ}\)、\(c=10\sqrt{2}\)の時、\(a\)の値は?
答え
① 三角関数表や関数電卓で\(\sin30^{\circ}=\displaystyle \frac{1}{2}\)だから、\(b=a\sin30^{\circ}=10\)
② 三角関数表や関数電卓で\(\cos45^{\circ}=\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2}}\)だから、\(a=\displaystyle \frac{c}{\cos45^{\circ}}=20\)
三角関数の拡張、三角関数のグラフ
上の説明だと三角関数は\(0^{\circ}<θ<90^{\circ}\)までしかないような気がしてしまいますが、実際の三角関数は次のように考えることで実数全体\(-∞^{\circ}<θ<∞^{\circ}\)で考えます。
下図は単位円(半径1の円)上に\(x\)軸からの角度\(θ(-∞^{\circ}<θ<∞^{\circ})\)の点がある図です(\(ωt\)は無視してください)。ここで\(x\)座標(黄緑の線)を\(\cos θ\)、\(y\)座標(オレンジの線)を\(\sin θ\)と定義するのです。
ここで、\(θ\)と\(\sin θ\)、\(θ\)と\(\cos θ\)をグラフにすると下図のようになります。
但し、θは度数法([°])ではなく弧度法(単位は無し、または[rad])で表しています。
度数法で表してもいいのですが、電子工作の世界では弧度法をよく用いるので弧度法で表しました。今後、角度は特に書かれていなければ弧度法で表すことにします。
弧度法は半径\(1\)、中心角\(x^{\circ}\)の扇形の円弧の長さ(紫の線)で角度を表す方法で、度数法との関係は次のようになっています。
\[x^{\circ}=\frac{\pi}{180}\times{x}\,\mathrm{[rad]}\]
\(90^{\circ}\)は\(\displaystyle \frac{\pi}{2}\,\mathrm{rad}\)、\(180^{\circ}\)は\(\pi\,\mathrm{rad}\)、\(270^{\circ}\)は\(\displaystyle \frac{3}{2}\pi\,\mathrm{rad}\)で、度数法で\(0^{\circ}\)から\(360^{\circ}\)は弧度法で\(0\)から\(2\pi\)となります。
なお、グラフを見てわかる通り、コサインとサインは次の関係があります。
\[\sin (θ+\frac{\pi}{2})=\cos θ\]
\[\sin (θ-\frac{\pi}{2})=-\cos θ\]
正弦波とは
最も基本的な交流である正弦波は、\(v=V_m\sin ωt\)(または\(v=V_m\sin (ωt+θ)\))で表されるグラフのことを言います。ここで\(V_m\)は振幅(正弦波の最大値(max))、\(ω\)は角周波数と言って周波数\(f\)と\(ω=2\pi f\)の関係があります。
例えば、振幅\(V_m=144\,\mathrm{V}\)、周波数\(f=50\,\mathrm{Hz}\)(1秒間に50回振動する)の正弦波は\(v=V_m\sin 2\pi ft=144\sin 314t\)となります。
このページで覚えるべきこと
- \(\cos θ\)は下図の\(x\)座標(黄緑の線)、\(\sin θ\)は\(y\)座標(オレンジの線)を表すこと。
- \(\sin θ\)と\(\cos θ\)のグラフは下図のようになり、\(\sin θ\)と\(\cos θ\)は\(\displaystyle\frac{\pi}{2}(90^{\circ})\)のずれがあること。
\[\sin (θ+\frac{\pi}{2})=\cos θ\]
\[\sin (θ-\frac{\pi}{2})=-\cos θ\] - \(\displaystyle \frac{\pi}{2}=90^{\circ}\)であること。
- 今後、角度は特に書かれていなければ弧度法で表すこと。
- 正弦波は\(v=V_m\sin ωt\)と表されること。